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熊本県伝統工芸館

設計部の上本です。
先日久しぶりに熊本で震度5強という強い地震があり、余震もしばらくありましたので、熊本地震を思い起こされた方も多かったのではと思いました。
大きな被害は出ていないようでほっとしました。

今回のブログでは、今年度冨坂建設で改修工事のJVに参加させていただきました熊本県伝統工芸館を取り上げます。
打ち込みタイルの落ち着いた色合いが、おそらく展示物に直射日光を当てない工夫、かつ外観のアクセントになっている出窓の陰影と調和し本当に端正で美しいと、いつ行っても思います。

私が初めて伝統工芸館を訪れたのは大学生のときで、建築学科の課題レポートの対象に選んだことがきっかけでした。
そのとき以来、伝統工芸館の建築やランドスケープが大好きになり、建物を見に行く目的や贈り物を探す目的などで、これまで何度も訪れています。
一番好きな場所が地下の広場に面したところです。
展示室を外から見ながら奥に進むと、敷地の高低差を生かした地階と広場があります。
この高低差を利用した造りがダイナミックで、周辺の緑とも相まってすばらしい外部空間を形成しています。


熊本県伝統工芸館(1982年)は、菊竹清訓建築設計事務所の設計、またその設立やソフトデザインには熊本県宇城市出身の工業デザイナー、秋岡芳夫氏が深く関わられたとのことで、秋岡さんの活動や著作が大変興味深いので、もし興味を持たれた方は調べてみて下さい。

今回の改修では経年にともなう内装老朽化のリニューアルが行われました。
43年前の建物ですから全く同じに復元することは難しく、時代の流れにそって変わった部分もありますが、建築の魅力は損なわれていないと感じました。

秋岡氏が立ち上げた伝統工芸館の3つのコンセプトがあります。
・手で観る工芸館
・誂えがきく工芸館
・市の立つ工芸館
リニューアルオープンは来年3月。
伝統工芸館は、そこからまたたくさんの人々を迎え、伝統工芸品の展示や販売、体験イベントなどを通して、「観て」「触れて」「知って」そして実際に「使う」ことで人々の日々の暮らしを豊かにしてくれる存在であり続けるだろうと思います。