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背景としてのコンクリート

設計部の林です。

いよいよ12月が迫ってきました。
今年も残りわずか。
スマホの残量で例えれば8%。
丁寧に時間を使いたいものです。

先日、三角東港、通称「海のピラミッド」に行ってきました。
小さい時は確か強風の時で、父親と頂上に登るのが怖かった記憶があります。
今は自分が父親になって、家族で同じ場所に来ていることが、なんとも感慨深いです。

分かってはいましたが、子どもはこのスロープを見ると走りだします。
外スロープ、内スロープ、登っては下り、そしてまた登りをエンドレスに。
かなりいい運動になりました。

中ではマスキングテープの展示会があっており、仕掛けとしてはマスキングテープを垂らすというシンプルなものでしたが、その数が圧巻。
光を透過するカーテンの様に柔らかな面が現れていました。
コンクリートの剛質な背景に、繊細な展示が対比され、よく映えています。

コンクリートは、それ自体がデザインの主役になる場合もありますが、あえて背景として扱うことも多々あります。
人工物のイメージがありますが、それは山の岩肌のような、石ころのような、実際には自然物の表情に近く、今回の展示物のような柔らかなもの、植物の緑など、他の素材を引き立てます。
どんなものを置いてもおしゃれにまとまってしまうのは、無機質な素材の特性ですね。

建築に携わる人として、この建物を改めてみると、素材や造形の強さ、施工の難しい曲面や鋭角なポイントなどに見入ってしまいます。
熊本人にとっては馴染み深いこの「海のピラミッド」。
穏やかな優しい場所でした。
お時間ありましたら足を運んでみてはいかがでしょうか。